リンちゃん事件 初公判で母の手紙、ベトナムの日本人旅行者は肩身の狭い思い

2019年10月24日

リンちゃん殺害事件

リンちゃんの母親が綴った手紙

千葉県松戸市の市立小学校3年、ベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9が殺害された事件で、殺人や強制わいせつ致死などの罪で起訴された通学先の元保護者会長、渋谷恭正被告(47)の初公判が行われ、亡くなったリンちゃんの母親が綴った手紙が読み上げられた。

日本を愛する名前

手紙では、日本に対する愛から娘の名を、「ニャット・リン」(ベトナム語でニャットは日本・太陽、リンは輝きの意味)と名づけたことや、

腫れあがって痣(あざ)だらけになって冷たく横たわる娘を見て泣くことも叫ぶこともできなかったこと、

今でも助けを求めて叫ぶ娘の声で目が覚めること、犯人は世界中の人々に日本と日本人のイメージを悪くしたことなど、

悲しみと苦しみに満ちた気持ちが語られた。

ベトナムを旅する日本人旅行者

肩身の狭い思い

リンちゃんの強姦致死事件は、現地ベトナムのメディアでも大きく取り上げられている。

リンちゃんが犯人から性的被害を受けていたことや、起訴された渋谷恭正被告が黙秘を続け、初公判で全面無罪を主張していることなどが報道され、ベトナムを旅する日本人旅行者は肩身の狭い思いをさせられている。

日本や日本人のイメージを確実に悪化 

ベトナムにとって、日本は最大の援助国。日本のODA (政府開発援助)はベトナムの経済社会インフラ開発などに大きく貢献し、ベトナム人は日本人に対して、良いイメージを持っている。

しかし、幼いリンちゃんが殺害された事件は、日本や日本人のイメージを確実に悪化させた。

日本人への冷ややかな視線 

ベトナムの現地を訪れている日本人観光客に対して直接、危害を加えたり、抗議を行ったりするといったトラブルは見られない。

日本人の多くは、幼い少女を殴り殺して、裸のまま遺体を捨て去るような残酷な人種でもないことも、現地のベトナム人はわかっている。

だが、「日本はしょせんカネだけ。道徳心が低い」といった冷ややかな視線が感じられることもある。

買春が日本人のイメージを悪化 

日本人は、かつて中国などアジアを占領し、現地の女性に性的暴行を加えて殺害したことや、

今でも東南アジア各地の風俗地帯で多くの日本人が買春していることが、日本人のイメージをさらに悪くしている。

日本人女性にも責任?

買春する日本人男性だけでなく、そういうことをさせてしまっている日本人女性の愛が足りないのではないか、と思うベトナム人女性もいる。

写真のアオザイ姿のベトナム人美女はそう言う。

買春の多くは欧米人、中国人 

東南アジアの各地で買春しているのは、圧倒的多くが現地の男性。日本人よりもヨーロッパを中心とする欧米人、中国人の方が遥かに多いが、なぜか日本人だけが攻撃される。

集団で女を買いに行く日本人旅行者

日本の男は大勢の男たちとつるみ、集団で女性を買いに行くためによく目立つ存在。カネを払うだけで女性とのコミュニケーションが下手であり、「カネだけでセックス」というイメージを強く持たれているからだ。

窮屈な島国根性 

日本の男性に責任があるわけではない。

つまらない会社、つまらない仕事、つまらない人間関係に縛られなければ、多くのカネを持っていなければ恋愛ができないし、結婚もできない、セックスもできない。

そんな窮屈な島国根性が、日本人男性を不幸にさせている。 

亡くなったリンちゃんへの想いを綴った母親の手紙

リンの母です 

 私は、グエン・ティ・グエンです。

 殺害されたレェ・ティ・ニャット・リンの母です。

日本に対する愛 

 私がリンを出産した時、リンの父親は、日本で暮らし、日本で仕事をしており、私たち夫婦は、日本に対する愛から、授かった娘に「ニャット・リン」(ベトナム語で『ニャット(Nhat)』日本・太陽、『リン(Linh)』は輝きを意味)と名づけました。

美しい未来 

 日本に対する愛と日本の人々に対する親愛の気持ちから、私は、リンが3歳になろうとした頃、リンを日本へ連れて来ました。

 私たち家族は、日本での美しい未来を夢見ていましたが、今日、こうして裁判で、私の娘の痛ましい死について話さなければならない日が来るとは、よもや思ってもいませんでした。

 私は、この愛する日本で、娘が9歳で人生を終えなければならなくなるとは思いもしませんでした。

日本を誇りに 

私の娘リンは、素直で優しく、誰のことでも良い人だと思える子供でした。

 娘は日本をとても愛し、日本で暮らせることを誇りに思い、いつも日本について話していました。

 娘はよく、ベトナムにいる祖父母や親類に、「日本人は私にとても良くしてくれてみんな私を可愛がってくれるの」と話していました。

 娘は、まだ幼いながらにもベトナム語と日本語の2カ国語を頑張って勉強し、将来2カ国の架け橋になりたいと夢見ていました。

 それなのに、娘の夢、信念、日本や日本人への愛は、殺人者によって無残にも打ち砕かれてしまいました。

下劣な情欲だけのために…

 犯人は、無慈悲に全てを奪いました。

 犯人は、下劣な情欲だけのために、私の娘の命と将来を奪ったのです。

 皆様、考えてみてください。一人の人懐っこい子供が、ある日突然、誘拐され暴行され、残忍な殺され方をする。

 それは、あまりにも残酷で不公平なことだと思いませんか?

 犯人は、私の娘を痛めつけ、いかなる物でも癒(いや)すことができない精神的苦痛を私の家族に与えました。

泣くこともできない 

 娘を失った苦しみは、寝ている時でも私を離れることはありません。

 私は、娘の遺体を引き取った時の感覚を死ぬまで忘れることはないでしょう。

 殴られて腫れ上がり痣(あざ)ができた娘の顔、棺(ひつぎ)の中で横になり瞑(つむ)られた娘の目、娘の冷たい手を握った私の心は、千もの針で突き刺されたようでした。

 私は泣くことも叫ぶこともできませんでした。

抵抗する力もない

 私の娘のような弱くて抵抗する力もない一人の子供が残虐に扱われ、あのような野蛮な殺され方をするなんて想像もできません。

 きっと娘も最期に目を閉じた時に、どうして自分がこのような残酷な扱いをされなければならないのか理解できなかったでしょう。

どうして

 私の娘に何か罪がありますか?

 どうして私の娘にあのような残酷なことをしたのですか?

 どうして私の娘に生きる道を残してくれなかったのですか?

 どうして私の娘を殴り殺して、洋服一枚も着せずに、あのように冷たい雨風の中に、私の娘の遺体を捨て去ったのですか?

助けられなかった 

きっと娘は最も痛みを感じた絶望の中で、私を呼びみんなに助けを求めたことでしょう。でも、誰もそれを知ることはなく、娘を助けてあげることができませんでした。

助けを求めて叫ぶ娘 

 私は眠りにつく度に、助けを求めて叫ぶ娘の声で目が覚めます。

 この痛みを言い表せる言葉はありません。

 同じ痛みは、4歳になる私の息子の心にも深い影を落としています。

 息子はいつも私に訊(き)きます。夕方になると、帰ってくるはずもない姉を待って、玄関のドアを開けては…「お姉ちゃんは、いつになったら学校から帰ってくるの?」と。

 犯人は、リンを殺害したことで私の家族に痛みを与えたばかりでなく、このような卑劣な事件で数百万もの人々に涙を流させ怒らせました。

日本と日本人のイメージを悪くさせた 

 犯人は、世界の人々に対して日本と日本人のイメージを悪くしました。

 リンを殺害した者の死刑を求める、ベトナムや日本、世界各国に住む100万以上の人々の署名が集まりました。

 世界の人々を悲しませ怒らせたのは、リンを殺害した犯人なのです。

 犯人の犯罪は決して許されるものではありません。

 私は、千葉地方裁判所に対し、私の娘を殺害した犯人に極刑である、死刑の判決を下すようお願いします。

児童殺害は汚い犯罪

 児童殺害は卑劣で汚い犯罪であり、いかなる国家でも許されません。

 たとえ犯人が数千回死んだとしても私の娘が蘇(よみがえ)ることはありません。

 しかし、他の子供に対する犯罪を阻止し、犯罪を企(たくら)む者への戒めとして、犯人は死刑に処されるべきです。

正義を信じています

 私の娘に公平を取り戻し、殺人者である犯人を人間社会から永久に排除するために、裁判所と裁判員におかれましては、公平かつ厳格な刑罰をしてくださいますよう何とぞよろしくお願い申し上げます。

 私と家族は、皆様の正義を信じています。

リンちゃんは戻らない

どんな極刑や苦しみを犯人に与えても、かわいいリンちゃんが生き返ることはない。