82歳高齢男性ラブホ殺害、24歳女の「パパ活」孤独の性の間で

82歳高齢男性ラブホ殺害、24歳女の「パパ活」孤独の性の間で

「よかったらホテルに行きませんか?」

東京・池袋の繁華街路上で、24歳の女性は、82歳の高齢男性に声をかけた。

2人は近くのラブホテルへ。

1時間半後に、男性が遺体となって発見された。

2022年1月22日に事件が発生

警視庁は殺人の疑いで住所、職業不詳の藤井遥容疑者(24)を逮捕した。

容疑は、池袋のホテル客室で埼玉県さいたま市に住む今野勝蔵さん(82)を刺殺した疑い。

年の差58歳の出会い

82歳高齢男性と、24歳の女性。その出会いは「パパ活」だった。

警視庁に殺人容疑で逮捕された藤井遥容疑者(24)。

見知らぬ相手とのデートなどの見返りに、金銭を受け取るパパ活で生活していた。

被害男性とも初対面だった。

パパ活の背景に「男」の存在

パパ活にのめり込む背景には、藤井容疑者の好意を利用して巧妙に「支配」する男の存在があった。

藤井遥容疑者がみずから110番通報

「友達から『ヤバいから来て』というラインがあった」。

藤井遥容疑者は、友だちが人を殺したと嘘をついて、公衆電話から110番通報。藤井遥容疑者は泣きながらこう訴え、一方的に切った。

すでに高齢男性は死亡

すぐに警察官が駆けつけた。10階の部屋のドアをあけると、血だらけの高齢男性が全裸で、イスにもたれかかった状態で見つかった。すでに死亡しており、財布からは金が抜き取られていた。

翌朝、逮捕

事件はスピード解決となった。

翌朝、現場から遠く離れた西八王子駅付近で、容疑者が警視庁の捜査員に確保された。

殺人の疑いで逮捕されたのは職業不詳の藤井遥容疑者(24)。

逃亡を手助けしたとして、藤井容疑者の元恋人である小林優介容疑者(29)と、弟の翔太容疑者(25)も逮捕された。

防犯カメラでの追跡

スピード解決の決め手は、防犯カメラでの追跡。

藤井容疑者は、今野さん殺害後、池袋駅付近で小林兄弟と合流。新宿の歌舞伎町にむかう。その後、池袋の現場に引き返し、規制線の外から、捜査の様子を窺っていた。

殺害後にカラオケ

その後、3人は再び歌舞伎町に引き返し、カラオケ店に入る。

殺害事件後にもかかわらず、藤井容疑者もカラオケで歌を歌っていた。

カラオケが終わった後、ネットカフェに移動。

3人はカラオケ店で一晩を過ごし、朝に電車でJR西八王子駅にむかい、改札を出て別れたところをそれぞれ警察に確保された。

凶器はカッターナイフ

殺害に使われた凶器はカッターナイフ。

藤井容疑者は「トラブルになり、かっとなって刺した」「(カッターナイフ)は普段から持ち歩いている」などと供述。

風呂に入っている隙に現金を抜き取る

今野さんの死因は、右太ももの動脈を切られたことによる出血性ショック。

ほかにも胸を刺されていた。

今野さんは風呂に入っていた形跡があり、入浴している隙に藤井容疑者が今野さんの財布から現金を奪おうとしたが、バレて刺した、と警察は見ている。

今野さんには性行為をした形跡はなかった。

カッターは護身用?

藤井容疑者は、「カッターを所持していたのは護身用」と説明。手首には切り傷があった。

パパ活の背景

藤井容疑者は、パパ活の常習者だった。その背景には、小林兄弟の存在があった。

兄の優介はオンラインゲーム上で、藤井容疑者と出会い、自分に好意を抱いていた藤井容疑者から、パパ活で稼いだ多額の金を貢がせていた。

軽度の知的障害も

藤井容疑者は、広島県出身。軽度の知的障害があり、障害者手帳も所持している。小林兄弟がネットの出会い系サイトで女性を演じて客を探し、藤井容疑者に売春をさせていた可能性が高いという。

病弱な母親と二人暮らし

弟の翔太容疑者は、西八王子駅付近の小さなマンションに住んでいた。病弱な母親と二人暮らし。アルバイトをして生活保護を受けながら母親の面倒をみていた。

兄の優介容疑者や藤井容疑者もこのマンションに出入りしていた。

近隣住民は?

兄弟の印象について、近隣住民は、

「マンション内で何度かすれ違いましたが、『今風の兄ちゃん』という感じで、香水の匂いをさせていました。でも、顔を合わせれば『こんにちは』とちゃんと挨拶をしてきて、チャラい見た目のわりには感じのいい青年だったんですが…」

涙を流す

兄弟の母親は取材に対し、「すいません、病気なのでわかりません」とか細い声で話すのみだったという。

藤井容疑者は22日逮捕後の移送の際、車内で声をあげて泣いていた。取調べに対しても涙を流しているという。

契約金は1万5千円

「パパ活で出会った男性とホテルでトラブルになり、カッとなって刺した」

藤井容疑者はこう供述。捜査本部は金銭をめぐるトラブルで藤井容疑者が男性に逆上し、携行していたカッターナイフで刺したとみている。

2人の「契約金」は約1万5千円だった。

身寄りのない老人

殺害された、今野勝蔵さんは、東北の豪雪地帯出身で1人暮らし。80歳を過ぎているが、現役の建設作業員として活躍。

「仕事ができるレジェンド」として周囲からも信頼されていた。月15~30万円の稼ぎがあったという。

だが、今野さんには身寄りもなく、遺体の確認は昔の職場の関係者が行った。

パパ活で生計

藤井容疑者は「手軽に多くのカネが入る」と、定職にはつかずパパ活で生計を立てていた。だが、それはかつての恋人で、今も好意を寄せている優介容疑者に貢ぐためでもあった。

女に貢がせる男

優介容疑者は、藤井容疑者に好意があるよう装い、優しく接しながら藤井容疑者のパパ活相手を探すこともあった。

「藤井容疑者は優介容疑者の気を引こうと、パパ活にいそしんでいたようだ」(捜査関係者)。

貢いだ多額のカネは、弟の翔太容疑者にも渡っていた。

怒ると手が付けられない

藤井容疑者は、以前から問題行動を繰り返していた。

地元の広島では周囲から「怒ると手が付けられない」として認識されていた。

コンビニエンスストアや飲食店で働いていたが、「客の財布からカネを抜き取るなどの行為が絶えなかった」(関係者)。

一生刑務所に入れてください

「(素行が悪すぎて)もう面倒を見きれない。一生刑務所に入れてください」。

逮捕後、藤井容疑者の親族は捜査員にこうこぼしたという。