奈良県天川村、大峰山「天女の舞」と警察官の侮辱的発言

2021年2月22日

奈良県天川村、大峰山「天女の舞

穴場の登山コース

女人禁制の修行地、大峰山(奈良県天川村)。厳しい修行の山だが、「天女の舞」と呼ばれる登山ポイントがあり、美しい雪原や大峯山脈を展望できる絶景スポット。天川川合から弥山に至る途中にあり、登山者は少なく、知る人ぞ知る穴場の登山コースだ。

「天女の舞」と呼ばれているのは、天河神社の奥宮がある弥山から、見晴らしのいい斜面に天女が舞い降りて、舞を舞ったという伝説が残るため。天女の舞の周辺は、大峯屈指のブナ林が広がり、霧氷が見られる冬季の登山は特に人気だ。

登山コースとしては、天川村役場の裏手にある登山ルートから、天女の舞にアクセスするのが一般的(登り約4時間、下り約3時間)。総距離が約8.9キロメートルで、標高差は約1090メートル。 

特に危険な個所はないが、ルートが長く、特に冬のシーズンは本格的な装備が必要。登山者が増えるにしたがって、遭難や事故も多くなっており、天川村役場には警察官が待機し、入山申請を呼び掛けている。旅行ライターのAさんは、冬場の天女の舞に取材に出かけたが、そこで役場で待機していた警察官から侮辱的な発言を受けたというのだ。

Aさんは言う。

警察官からすれば、数万円もするような登山服や登山靴、トレッキングポール(登山用ストック)がちゃんとした冬山登山の格好なんでしょうね。

当然、そんなことはわかっています。

しかし、目的は旅行ガイド用の写真撮影がメインで、日ごろから冬山登山はしておらず、装備にはお金もかけていない。

この時も、トレッキングポールを買うのはもったいないので、100円ショップで売っているビニール傘を代用することにした。

しかし、天川役場で待機していた警察官から、「意味が分からん」「あんたみたいな者がいるから、遭難者が増える。山をナメるな」と、ひどく叱責され、侮蔑的なことを言われ、たいへん心傷ついたという。

当時のAさんの服装は、通常のコート。保温効果の高い下着を2枚重ね着し、コートの下にも防水用のウエアを羽織っていた。リュックサックにはマフラーやカイロもたくさん入っている。靴は登山靴ではないが、トレッキング用のシューズでアイゼンの装着も可能。これまで幾度も冬山登山に使っていた。

靴下も余分のものを含めて5足用意。マフラーやバイク用の防寒手袋など、防寒対策は万全を尽くしていた。軽装備ではない。見た目が、冬山登山ぽく見えない、一般の服に見える。つまり山をナメている、ということだ。

ところが、警察官から、「そんなもの登山靴と違う。もっとそこが硬くて、中央がへこんでいるのが登山靴と言うんや」と、ひどく叱責された。

さらに、「ネットを見て、来るやつがいるけど、あんたみたいな者がいるから遭難するんや」と、これも激しく叱責された。

山をナメているなんて、とんでもない。

天川村の山には神々が感じられ、ギスギスした嫌な現実世界から離れるために登山に来たのに、終始嫌な気持ちで登らなければらなくなった。

これは明らかに侮蔑的な発言であり、たいへんな屈辱を受け、深く心を傷つけられた。

とAさんは話す。

さらに、警官から、「天川に来るんやったら、スノータイヤは常識だ。今日は天気がええが」と言われた。

Aさんが登山に来た日は2月下旬だったが、気温が20度近くも上がり、春並みの天候だった。2月中旬から日本全国が真冬並みの気温となり、しかし、週末には春並みに気温が上昇するということで、Aさんは天女の舞への登山プランを計画した。

本当は霧氷の見える厳冬期に行きたいが、本格的な装備がない。

そのため、3カ月間、状況を見守ってきた。

2月下旬だと、雪がまだ深く残り、しかし、春並みの気温に上昇することがあるので、この機会を狙っていた。

もちろん、装備は不十分なことは承知しているので、無理だったら引き返そうと考えていた。

しかし、警察官からは、子供以下のような侮蔑的な発言を言われ、レッキングポールの代用にビニール傘を代用することでも、「意味が分からん」などと蔑視された。

天川村へは、小型バイクで向かった。

だから、気温が上昇する日を狙って天川に向かった。

道路状況もわからない。路面が凍結していたら戻ろうと計画していた。

翌週に登山することも可能だからだ。

本来は、309号線の馬渡から天女の舞に行く予定だったが、手前の北隅で路面が凍結していたので、役場からのルートに変更した。

危険だと思ったら臨機応変に対応する。

子供じゃないし、警官からたいへん侮蔑的な発言を受けた。

さらにAさんは言う。

「山に登れば、本格的な装備をした人が多いが、こんな姿を見て、侮蔑的な視線や言葉を発するひとはまったくいない。

山は、すべての人に平等。

しかし、山は怖い。山の事故は、すべて自己責任。

当然、そうした感覚を持ているし、装備不十分ながらも対応できる状況を見越しての登山計画だった。

天女の舞は素敵だったのに、警官から侮蔑的な発言され、たいへん苦しんだ」

Aさんは、下山予定として午後5時と書いた。

そのため、下山時間を過ぎ、勝手に捜索されたら迷惑(救助要請がなければ警察は動かないが)なので、予定時刻通りに戻った。

しかし、天川村役場まで戻ったが、その警官の姿はなかった。

この対応について、Aさんは「まったく意味が分からい」と話す。

警官が、「今日は天気がええが」と言ったので、「だから今日の日に来たんじゃないんですか」と強く言ったら、警官は少しひるんだという。

法に触れていない限り、警官は民間に口出しする義務はなく、逆に自分の立場を悪くするため、すぐ保身に戻るからだ。

何よりも、もっと疑問なのは

もし市民の安全を考え、心配しているのであれば、

わざわざ登山申請を強制しているわけであり、

その人が無事に下山したかどうかを確かめる必要があるのではないか。

つまり、その人が下山時刻になっても戻らず、

天川村にバイクを置いているのは知っているから、

それがまだあるということは下山していないということ。

入山時刻を過ぎ、日が暮れても戻らないとなれば危険なことがあったはずと考えるはず。

早期に対応すれば命も助かる。

しかし、そんなことは一切やらない。

自分の憂さを晴らし、ストレスを発散し、怒鳴り、嫌がらせを行っているようにしか思えない。

携帯電話や自宅の電話番号、住所などを詳しく書かせ、その情報をまったく生かせていない。

最近の警察官は、一部だが、こうした情報を悪用し、セクハラに使っている。自分たちの立場をもっとしっかりすべきではないのか、とも指摘する。

雪山で遭難すれば、ヘリコプターなども出動し、後になって莫大な金を請求される。命の安全と言いながら、人の命をうたった、カネもうけとしか考えられない。

もちろん、無謀な登山で、多くの人に迷惑をかけるのはまったくの論外だ。

私はそうしたことをやりたくないので、装備をそろえることができない分、状況に気を配った。

この日、実際にAさんは天女の舞にまで行ったが、「アイゼンも必要なく、歩いていたら暑かった。汗が出た。自分なりのプラン通りの登山ができた。しかし、山はナメていない。急しゅんな尾根を歩くので、天気が良くて気温が高くても、猛烈に強くて寒い風が台風並みに吹き荒れることもあった。しかし、見かけは登山者のように見えなくても、堅実な装備を行い、常に状況を把握した行動をとっている」と話す。

天女の舞に向かった熟練登山者には、「テントを張ると言ったら、警官から貴重な植生があるので、その上にはテントを張らない、と言われた。しかし、あたりはいちめんの雪。どこに貴重な植物があるのかわからない。山のことがまったくわかっていない警官だ」と話す。

私はディズニーランドでキャストをしていたが、優しい親切なお巡りさんに会っていた。オリエンタルランドの入り口で、社員証を見せてディズニーの敷地に入るが、ゲートで真っ白な制服をキリリと着こなした、背の高い、爽やかな笑顔の男性が、私たちキャスト一人一人に敬礼しながら、「おはようございます」「こんにちは」と明るく声をかけ、一日の始まりを楽しくさせてくれた。

日本の警察官にも、こんな人はいる。しかし、私が知っている限り、Aさんが出会った、ただ威圧的な警官の方が圧倒的に多い。

日本の警察官は、市民からより愛されるため、ディズニーランドで人間とのコミュニケーションを学んではいかがだろうか?

見た目だけの、上っ面で判断するのは、日本の警察官だけではない。日本中、すべてに当てはまることではないだろうか?

さらにAさんが憤慨するのは、自分を侮辱的に見下されたことだ。警察官という絶対権力には逆らえない。何かあれば公務執行妨害で逮捕できる。そうした権限を振りかざし、人間に対する愛情と真に優しい眼差しを持っていない。これに尽きると思われる。

こうした人間こそ、山に登るべきだろう。山に登ってください。そして、天女に会ってみて下さい。心洗われる時間をぜひ体験してください。