奥深い京都観光!奥嵯峨野、2つの念仏寺は紅葉も穴場スポット
愛した気持ちも、愛されているという喜びも、自分の心でありながら、思い通りにならないのが人間の不条理さ。そんな無常観が感じられる奥深い寺院が、京都・奥嵯峨野にある二つの念仏寺です。清水寺や金閣寺、伏見稲荷大社といった人気の観光スポットと比べて、マイナーな寺院。しかし、紅葉の穴場スポットでもあり、ひっそりした秋の気配や古都の静けさを楽しみたい方におすすめ。京都の隠れた観光名所をご紹介します。
化野念仏寺(あだしのねんぶつじ)
人気の観光スポット、京都の嵐山
外国人観光客にも人気の観光スポット、京都の嵐山。渡月橋を越えた嵯峨野よりも、ずっと奥に、奥嵯峨野があります。嵯峨野の「竹林の道」を過ぎ、嵐山から3キロほど奥に入ったところにある最初の念仏寺が、「化野念仏寺(あだしのねんぶつじ)」。
ひっそりした古都の静けさ
紅葉シーズンでも早い時間帯や夕方では、訪れる人は少なく、ひっそりした古都の静けさに浸ることができます。
無数の石仏や石塔
祇園や東山、河原町といった、華やかな雰囲気とは違い、静寂に満ちた奥嵯峨野。平安時代から無数の石仏や石塔が並ぶ小さなお寺が「化野念仏寺」です。ここは、紅葉の穴場スポット。
あだし
「あだし」には、“はかない”“むなしい”という意味があります。
愛する人の永遠の別れ
奥嵯峨野は遠い昔、京都の風葬地でした。生活の余裕はなく、お墓を建てることができない庶民が、愛する人の永遠の別れを悲しんだ場所です。
空海が建てた寺院
野ざらしになっていた亡骸を憐れんで、化野の地にお寺を建てたのが、平安時代の僧侶、空海です。化野念仏寺にある約8000体の石仏や石塔。これらは、かつて化野で亡くなった人たちのお墓です。
生まれ変わり
いちめんの石仏や石塔。真ん中には、釈迦坐像と十三重の石塔が置かれています。化野の「化」とは、再びこの世に生まれ変わることや、極楽浄土に往生する願いが込められています。
無常だからこそ良い
西行も吉田兼好も、「あだし野の露」に、人生や愛の無常さを感じました。しかし、「人生も人の心も、無常だからこそ良いのだ」と、いにしえの日本の歌人たちは思います。
千灯供養
紅葉の時期はひと際美しく、静寂に満ちた世界。数千体の無縁仏にロウソクを灯して供養する「千灯供養」(8月23日、24日午後6時~)が行われますが、秋の美しさと同じように、千灯供養も幽玄の美しさがあります。
【化野念仏寺】
■アクセス/京都バス「鳥居本バス停」(京都駅から72号系統、三条京阪から62号系統)
■拝観時間/9時~16時30分(季節によって変動あり)
愛宕念仏寺(おたぎねんぶつじ)
「化野念仏寺」から緩やかな坂道へ
続いて、もう一つの念仏寺は、「愛宕(おたぎ)念仏寺」。「化野念仏寺」から緩やかな坂道を600メートルほど進んだ場所にあります。「平野屋」という茶店がある三差路を右へ進み、「愛宕寺前(おたぎでらまえ)」のバス停前に、赤い門が見えます。ここが「愛宕念仏寺」。
紅葉の穴場スポット
「愛宕念仏寺」があるのは、奥嵯峨野の最深部。ここまで訪れる人は少なく、このお寺も紅葉の穴場スポットです。
ユニークなお顔の石仏
山の斜面に沿ったお寺には、ユニークなお顔の石仏がぎっしり。そのお顔は安らかで微笑ましく、楽しい気分になることができます。約1200体の石仏。一つひとつの表情やポーズがそれぞれ違っています。
ふれ愛観音堂
「ふれ愛観音堂」
「ふれ愛観音堂」(写真)のまわりも、たくさんの石仏。紅葉も味わい深く、古都らしい風情が感じられます。ふれ愛観音さまは、手に触れることで、身体も心の痛みも和らげてくれる仏さま。
阿羅漢さん
「愛宕念仏寺」の創建は8世紀。洪水などで長い間、廃寺となっていました。その後、昭和時代に復興することに。阿羅漢 (あらかん)像を彫って奉納することを呼びかけたところ、なんと1200人もの方々が自らの手で阿羅漢さんを彫ることに。
幸せに微笑んでいたい
一般の方々が心を込めて彫った阿羅漢さまは自由でのびのび。石の阿羅漢さまの頭に散り紅葉がつもり、ほっくりした気持ちになることができます。人生や愛には終わりがあるから、いつまでも幸せに微笑んでいたいのでしょう。
【愛宕念仏寺】
■アクセス/京都バス「愛宕念寺前」(阪急嵐山駅発、JR京都駅発、三条京阪発など)
■拝観時間/8時~17時
おわりに
古都の静けさに出会いに
匂い立つような美しい花も、やがては散ってしまう。空を流れゆく雲も、波の形も海の色も、ずっと同じ姿のままではない。そんな無常を感じた時、自然や古都の静けさに出会いに、奥嵯峨野の2つの念仏寺を訪ねてみてはいかがでしょうか?
なお、嵐山・嵯峨野周辺の観光スポットや京都の紅葉名所については別途、記事にまとめていますので、ご興味のある方は関連MEMOに貼り付けたリンクからのぞいてみて下さい。
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