奈良のスカイツリーは24時間無料!東大寺・二月堂の見どころ
展望台に登るだけで一人約4000円も取られる東京スカイツリー。しかし、奈良随一の眺望スポット、東大寺の二月堂は、富士山よりも、遥かに遠い、仏の山(心の世界)を見ることができ、24時間いつでも拝観できて、しかも無料です。3月の行事「お水取り(修二会)」で知られる奈良・東大寺の二月堂。奈良の観光スポットランキングでも、人気の高い寺院です。そこで、二月堂の見どころをご紹介。奈良の風情を感じる旅行に行きましょう。
奈良 東大寺・二月堂へのアクセス、行き方~大仏ホタル観賞、穴場の紅葉スポットも
国宝「二月堂」の魅力、見どころ
東京にそびえるスリムなデザインの「東京スカイツリー」。設計やデザインには、日本古来の建築技術が応用されました。一方で、奈良県奈良市にある東大寺・二月堂は、奈良時代(8世紀)創建の仏堂。江戸時代の1669年に再建されますが、当時としては東京スカイツリーを建設するような高度な職人技が使われています。そんな国宝「二月堂」の魅力と見どころをご紹介しましょう。
二月堂へは、裏参道がおすすめ
奈良・東大寺のお堂のひとつ、二月堂へは、写真の裏参道を通って行くのがおすすめ。“奈良の大仏”で有名な「東大寺 大仏殿(金堂)」の正面入り口と反対側、大仏殿の裏手に裏参道があります。白壁や土壁が裏参道を囲み、桜や梅、紅葉など四季折々の風景が美しく、古都・奈良の風情が最も感じられる観光スポット。
大仏蛍 紅葉の穴場! 大湯屋
古都のたたずまい
二月堂に向かう途中にある珍しい建物が、「大湯屋(おおゆや)」(写真左)と呼ばれる鎌倉時代のお風呂(鉄湯船)。大湯屋付近の川では、6月中旬に天然のゲンジボタル「大仏蛍」を見ることができます。自然が多く残り、秋には紅葉が美しい穴場のスポット。静かな古都のたたずまいを感じたい方にぜひおすすめの観光スポットです。
奈良のスカイツリー、二月堂の舞台(回廊)
南北2カ所の階段からアクセス
裏参道を真っすぐ歩いていくと、やがて二月堂に。石段の上に見える建物が、“奈良のスカイツリー”とも言える二月堂の舞台(回廊)です。見晴らしのいい舞台に上がるには、南北2カ所の階段からアクセス。写真は北側にある石段ですが、屋根が設けられ、古都らしい風情のある回廊となっています。
吊り灯籠も、二月堂の見どころ
二月堂は派手さ、大きさはありませんが、しっとりした特有の風情が感じられるのが魅力です。瓜(ウリ)の形をした大きな「吊り灯籠(つりとうろう)」は、二月堂の見どころのひとつ。この独自な灯籠が、重厚な寺院を引き立て、当時としてはスカイツリーのような斬新なデザインが採用されています。
奈良随一の絶景スポット 二月堂の舞台(回廊)
和服姿の女性が歩いている場所が、二月堂の舞台(回廊)です。舞台に立つと、東大寺大仏殿の大屋根や奈良市街、生駒山を眺望することができ、奈良随一の絶景スポット。3月のお祭り「お水取り」では、大きな松明が舞台を駆け巡ります。
「二月堂」は拝観料が無料 しかも24時間いつでも開放
東大寺の建物のうち、「大仏殿」「法華堂」「戒壇堂」は拝観料(入場料金)が必要です。しかし、眺望に優れた風情ある寺院でありながら、「二月堂」は拝観料が無料。しかも、24時間、いつでも拝観できるため、朝早く着いてしまった時や、多くの寺院が閉門する夕方5時を過ぎても拝観することができます。
二月堂の見どころ 懸造(かけづくり)
京都の清水寺と同じ
二月堂は、市街地から離れた若草山のふもとに建っています。山の斜面に、突き出すように建っているのも、二月堂の見どころ。床を支える柱の長さを調整し、舞台を水平に保っています。これは、「懸造(かけづくり)」と呼ばれる建築方法。京都の清水寺にも見られます。
二月堂の見どころ 石段の模様
無病息災がかなう
写真は、二月堂の南側にある石段ですが、この角度から見上げる二月堂は、見ごたえ十分。山の斜面に建った二月堂が、前に突き出したように建っている姿がよくわかります。南側の石段には、「唐草」や「亀甲」「波」などの模様が刻まれ、これを踏むと無病息災がかなうとされています。
二月堂の見どころ 若狭井
お水取り(修二会)のハイライト
二月堂の真下にある小さなお堂も、見どころスポット。お堂の中には、井戸(若狭井)があり、この水を汲んで、二月堂のご本尊、十一面観音にお供えする行事が「お水取り(修二会)」と呼ばれる宗教行事です。
春を告げる「お水取り)(修二会)」
夜空を焦がす巨大な松明
写真が「お水取り」のもよう。巨大な炎が舞台を駆け巡り、炎の熱気が頬にまで感じられます。夜空を焦がす巨大な松明(たいまつ)は、井戸から水を汲んで本尊の「十一面観音」にお供えするための道明かりです。
「お水取り(修二会)」は、3月1日から14日まで
「お水取り(修二会)」が行われる期間は、3月1日から14日までの14日間。旧暦では2月にあたることから、「二月堂」という名前が名づけられました。
絶対秘仏!東大寺 二月堂の 「十一面観音」
大観音 小観音
こちらは、二月堂の正面。舞台の中央に本尊の「十一面観音」が祀られています。しかし、修二会を行う修行僧さえも見ることができない絶対秘仏。「大観音(おおかんのん)」「小観音(こがんのん)」と呼ばれる2体の十一面観音像が、格子扉の奥に安置されています。
※大観音の「光背(こうはい)」は、東大寺ミュージアムで公開されています。
生駒山の彼方
お水取り(修二会)のルーツ
夕暮れになれば、二月堂の吊り灯籠に明かりが灯され、神秘的な気配に包まれます。生駒山の彼方へと沈んでいく夕日。そこには難波津(大阪湾)があり、遠い昔に観音さまが流れ着いたところ。この観音さま(十一面小観音)に祈りをささげる法会が、今日まで約1300年間、一度も途切れたことのない、二月堂の「お水取り(修二会)」です。
遠い補陀落から
その観音さまは、人のような温かみを持つと言われ、遥かに遠い「補陀落(ふだらく)」から難波津に流れ着いたと信じられています。補陀落は、富士山よりも、遥かに遠い、仏の山。奈良への旅行で、東大寺・二月堂の回廊にたたずみ、静寂の世界を見つめてみてはいかがでしょうか?
奈良 東大寺「二月堂」の周辺おすすめ観光スポット
情緒的で静かな古都の散策
最後に、二月堂周辺のおすすめ観光スポットをご紹介します。二月堂のまわりには、法華堂(三月堂)や開山堂、手向山八幡宮といった社寺が建ち並び、情緒的で静かな古都の散策を楽しむことができるエリア。
「奈良太郎」と呼ばれる東大寺の鐘
その中でも見どころは、東大寺の鐘。地元では「奈良太郎」と呼ばれている鐘で、東大寺創建当初(奈良時代)のもの。国宝に指定。日本三名鐘の一つ。毎日2回、午前6時と正午に鐘がつかれます。正午には、修行中の僧侶が、ホラ貝を鳴らすのですが、清少納言も聞いたことがあるそう。
絶好の紅葉穴場
東大寺・大仏殿の西側にある猫段(猫坂)。ひっそりした木立ちの中を歩いていくと真正面に見えるのが、先ほどご紹介した「奈良太郎」。さらに、真っすぐ進んで行くと、「法華堂(三月堂)」「二月堂」「手向山八幡宮」が見えてきます。この辺りは、観光客も少なく、秋には白壁を彩る紅葉が美しい。絶好の紅葉穴場なので、静かな古都の散策を楽しみたい方におすすめです。
手向山八幡宮
東大寺の守護神社
最後のおすすめは、「手向山八幡宮」。東大寺の守護神として建てられた神社です。平安時代の歌人、菅原道真が紅葉を詠んだ場所。この神社も秋には紅葉が美しく、穴場の紅葉スポット。二月堂の周囲には、古都・奈良らしい風情ある社寺が多く、奈良に観光に行かれたならぜひ散策を楽しんでください。
「お水取り」だけじゃない!奈良・東大寺「二月堂」は、秋の盆踊り(十七夜盆踊り)もおすすめ。
「十七夜盆踊り」
いかがだったでしょうか?本文で、「お水取り」をご紹介しましたが、東大寺・二月堂の行事は、お水取りだけでなく、「秋の盆踊り」もおすすめ。毎年9月17日には、「十七夜盆踊り」と呼ばれるお祭りが行われます。毎月17日は観音さまの縁日。特に旧暦の8月17日は、「十七夜」(じゅうしちや)と呼ばれ、各地で催しが行われますが、二月堂でも灯籠が灯され、三月堂前では盆踊りも行われます。こちらも風情が感じられるお祭りなので、ぜひご参加されてみてはいかがでしょうか?
なお、東大寺・二月堂「お水取り」の詳しい内容や、周辺の奈良観光スポットについては別途、記事にまとめていますので、ご興味のある方は関連MEMOに貼り付けたリンクからのぞいてみて下さい。
■古都に春を呼ぶ!「奈良 東大寺 二月堂」の“お水取り(修二会)”
■関西屈指の紅葉の穴場!奈良公園の紅葉巡りおすすめスポット5選
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