なぜ高梨沙羅は謝罪?北京五輪の規定違反、FISを怒るべき

2022年2月10日

高梨沙羅選手がインスタグラムで謝罪

「私のせいで皆んなの人生を変えてしまった」 

北京五輪に出場していた高梨沙羅選手(クラレ)が2022年2月8日にインスタグラムを更新し、心境をつづった。7日のノルディックスキージャンプ混合団体の1回目にスーツの規定違反で失格。日本は4位だった。号泣した高梨は競技後、取材に応じられず、今回の投稿で初めて想いを明かした。

高梨はインスタグラムに真っ黒の画像を公開。違反してしまったことへの謝罪を記し、、最後まで諦めずに戦った日本チームにも感謝。「今後の私の競技に関しては考える必要があります」とし、スキー競技が「選手やチーム同士が純粋に喜び合える場であってほしい」との願いをつづった

以下は、インスタグラムの全文

「日本チームを応援して下さっている全ての皆様

 今回、私の男女混合団体戦での失格で日本チーム皆んなのメダルのチャンスを奪ってしまったこと、そして、今までチームを応援してくださった皆様、そこに携わり支えて下さった皆様を深く失望させる結果となってしまった事、誠に申し訳ありませんでした。

 私の失格のせいで皆んなの人生を変えてしまったことは変わりようのない事実です。謝ってもメダルは返ってくることはなく責任が取れるとも思っておりませんが今後の私の競技に関しては考える必要があります。

 それ程大変なことをしてしまった事深く反省しております。

 そして、私のせいでメダルを取れなかったにも関わらず、最後の最後まで支え続けてくれた有希さん、幸椰さん、陵侑、そして日本チームのメンバーの皆さま、スタッフの皆さまには感謝してもしてきません。

 こんな私を受け入れてくれて本当にありがとうございました。この度は本当に申し訳ありませんでした。

高梨沙羅

 私が言える立場ではない事は重々承知の上で言わせていただけるなら、どうかスキージャンプとゆう素晴らしい競技が混乱ではなく選手やチーム同士が純粋に喜び合える場であってほしいと心から願います」(原文まま)

高梨は1回目に103.0メートルの大ジャンプ。124.5ポイントを獲得し、笑顔を見せた。しかし、スーツの規定違反でまさかの失格に。それでも、2本目も98.5メートルで意地のジャンプをマーク。佐藤幸椰、伊藤有希、小林陵侑とともに最後まで戦い抜いた。他国も含め、失格者は4か国5人と続出。ルールについて世界的に物議を呼んでいる。

海外の選手や関係者からは、失望感や怒りの声

高梨と同様に、1回目を飛んだ後に失格とされた女子個人2大会連続銀メダリストのカタリナ・アルトハウス(独)は、泣き崩れる。

「女子に二つ目の種目ができて、とてもうれしかったのに。FIS(国際スキー連盟)はすべてをぶち壊した。女子ジャンプもぶち壊した。FISが何をしようとしているのか分からない。私は11年間、ずっと何度もチェックしてきて、一度も失格になったことはなかった。私のスーツは規定通りです」

チームのコーチも怒りを露わにする

「私は信じられないほど怒っている。不思議なことは皆、昨日も同じスーツを着ていて、何も問題なかったことだ」

2人の失格者を出したノルウェーチームの責任者は語る。

「女子が参加する新種目が採用されたのに、こんな結果になってしまった。どうして失格者が女子だけなのか」

なにが規定違反なのか?

規定違反は、ジャンプ後にランダムに行われる検査で違反が判明した。内容は、両太もも部分が規定よりも2センチ大きかったとされている。

高橋沙羅選手は悪くない

関係者は「本人は与えられたスーツしか着ないので、本人は自信を持って飛んでいる」と話し、「本人のせいでは全くない」ことを強調する。

スーツの規定は、体に対しての大きさで決まる。一般的に、スーツが大きければ風を受けやすく、飛距離が伸びると考えられているためだ。

今回、高梨沙羅選手は、4位に入賞した2日前のノーマルヒルで着用した同じスーツを使用。試合前の検査はクリアしていたが、抜き打ち検査では、太もも部分が2センチ規定よりオーバーしていた。

北京のジャンプ台は、氷点下16度の極寒のコンディションで行われた。このため、筋肉が萎縮し、結果的に予期せぬ、誤差が生まれたのではないか、とも見られている。

各国では怒りを隠せない。

2回目のジャンプで規定違反を受けたシリエ・オプセット選手は(ノルウェー)は、「彼らは全く異なる方法でスーツを測定していて、これまでは違う方法で立つように言われた」と証言している。

測定は公平に行われたのか?

・どうして失格者が女子だけなのか?

・抜き打ち検査は、なぜ人気で注目の競技者だけに行われたのか?

・競技は氷点下16度の極寒のコンディションで行われたが、これによる筋肉の萎縮をなぜ考慮に入れないのか?科学的な根拠に基づいて計測されたのか?

・なぜ1回目のジャンプで高得点を出した高橋沙羅選手をねらって抜き打ち検査が行われたのか?

最初から高梨沙羅選手を陥れるための中国の陰謀だった

激しく憤る海外の監督

ノルウェー代表のブラーテン監督は、「今回の測定の仕方がいかに異質だったか」と憤慨する。

「通常の測定では、選手は腕を体から30センチほど横に向けて伸ばして待つが、問題の日は腕を頭の上に置いたままだった」

「そうすると、スーツのフィット感が変わってくる。全然違う」

「通常、検査は1人で行うが、この時はなぜか3人もいた」

「少なくとも5人の選手が違う方法でやっていたと話す情報がある」

「しかもそれを体験しているのは、彼女たちだけなのだ」

当然、この試合だけ違うやり方で測定していたならば、国際スキー連盟(FIS)側の明らかな落ち度となる。

元ドイツ女子代表監督で現FISマテリアル委員会、ジャンプ委員会委員のアンディ・バウアー氏は、中国の運営側を批判。

「もし測定方法が変更された場合、チームとコーチに、事前に知らされなければならない。あれはスキャンダルだ!」

通常いないはずの男性審査員が謎の介入

北京五輪スキージャンプ混合団体で、女子選手の測定に、通常はいないはずの男性コントローラーが突然介入し、大混乱を招いたことが明らかになった。。

失格者にシリエ・オプセト選手を出した、ノルウェー代表のブラーテン監督は、「通常の測定では選手は腕を体から30センチほど横に向けて伸ばして待つが、団体混合の当日は腕を頭の上に置いたままだった」とノルウェー紙「VG」で反論した。

また、通常は検査を1人で行うが、この時はなぜか3人だったという。

最大の疑問は、5日に行われた女子個人戦で5人とも同じスーツを着ていたにもかかわらず、失格になっていなかったことだ。

ドイツのホルンガッハー監督によると、通常ならマテリアルコントローラーは男子種目には男性、女子種目には女性が担当。

しかし今回の混合団体では、男性コントローラーが突然、女子の測定にもついてきた。ハンナバルト氏はドイツメディア「ワトソン」に対し、「団体戦で着用したスーツは個人戦で女性のコントローラーがOKを出したものだったが、団体戦では男性コントローラーが違うやり方で測定したことから、今回の大混乱が起きた」と指摘した。

 この男性担当者は、非常に厳格な測定で知られるフィンランド人のミカ・ユッカラ氏。

・試合の1日か2日前に、ユッカラが『自分のガイドラインに従って適切にコントロールする』と、女性たちに伝えるべきだった。

・女子には女性のコントローラーがつき、ユッカラはいつも通り男子をコントロールすべきだった。

といった批判の声が相次ぐ。

・ユッカラ氏に対しては、3月までコントローラーを担当していた前任者のジョセフ・グラッツァー氏も痛烈に批判。

ドイツ紙「ティロラー・タゲズゼイトゥン」に「あれは大失敗だ。ユッカラはある日突然、すべてを変えてコントロールしようとして、仕事を違った形で行おうとしている印象がある。僕にとって、今の彼は試合場に立つべき人間ではない。ミスがあったんだ」と怒りをぶちまけている。

高梨沙羅選手を見殺しにする日本のメディア

泣き崩れる高梨沙羅選手に対し、この問題について持論を展開し、真正面から切り込む新聞社、テレビなどのメディア、コメンテーター、司会者も日本にはいない。高橋選手に同情の声をあげるだけ彼らは、すべて中国共産党の手先だからだ。

なぜ、日本のコーチ、責任者、監督は、海外の選手のように怒りの声をあげないのか?

それが、君たち、日本人の美徳なのか?