悲しい自殺、女優の竹内結子さんを追いつめたものは?
悲しい自殺、女優の竹内結子さんを追いつめたものは?
苦しみをかかえたまま
人気女優の 竹内結子 さん(享年40)が、東京都渋谷区の自宅マンションで亡くなった。何を思い詰めていたのか。夫で俳優の 中林大樹さん(35)にも相談できなかったのか。一番悔しく、悲しいのは、中林さんだろう。
ついさっきまで、楽しく過ごしていたのに、変わり果てた姿の竹内さんが発見されたのは27日午前2時ごろ。中林さんが寝室に入り、竹内さんの姿がないことに驚き、クローゼットの中で首を吊っていた竹内さんを見つけた。すでに、意識不明の状態だった。急いで119番通報したが、搬送先の病院で竹内さんの死亡が確認された。
長男(14)と次男(8カ月)を残し、帰らぬ人となった。事件性はなく、自殺とみられている。
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遺書はなく、確固たる動機も思い浮かばない。中林さんの胸の中はどのようなものだろう。幼い乳飲み子の次男を残し、命を絶つなんて、よほど思い詰めていなければ自殺なんてできない。
自殺したい、と思っても死ぬのは怖い。生きるのは苦しい。仕事がなければ不安だが、仕事を持っていても社内での陰湿ないじめ、将来の不安、ライバルたちの存在や、競争社会の中で生き残るためのプレッシャーがあり、常に不安と孤独はつきまとう。
誰もがそんな社会の仕組みの中で生きている。芸能界だけではない。
前夫の中村獅童さんとは、長男が2歳の時に離婚。たが、竹内さんはシングルマザーで女優業をするかたわらで、長男が通っていた小学校でPTA役員を務めていた。トレンディドラマの時代が終わり、女優不遇の時代が続く中でも、数少ない実力派として注目。プライベートでも子供想いの普通の母親だった。家族や親族にも恵まれていたが、それでも孤立感を深めていたのだろうか。
竹内さんの自殺を巡って、さまざまな憶測が飛び交う。コロナ禍で仕事が減り、金銭的なプレッシャーがあった。出産後1年未満の母親の死因で、最も多いのは自殺。産後うつとコロナ禍が重なった。
竹内さんほどの人がそれだけの理由で自殺するとは思えない。だが、本当は弱くて倒れそうで、明るく振舞い、がんばっていたのか。
竹内さんには、イモトアヤコさんや柴崎コウさんといった仲の良い友達がいる。だが、まわりの人は誰一人、最悪の結末になるまで気づけなかった。竹内さんは、親友に心配かけないよう、気づかれないように振舞っていたのかもしれない。現実においても女優だったのか。
竹内さんが住んでいる自宅は100平方メートルを優に超え、家賃100万円は下らない超高級マンション。人は、一度手にしたものをなかなか手放せない。女優としての名声や社会的な地位、優雅な生活。手に入れるまでは無我夢中だが、いざ手にしてしまうと、今度は不安と恐怖がつきまとう。それを手放さなければならない時が来るからだ。
病気や生活苦、経済苦で自殺する中高年は不幸だが、人がうらやむものを手にしながら死ななければならないのも、とても不幸なことだ。
このところ、芸能人の自殺が相次いでいる。三浦春馬さん(享年30)、芦名星さん(享年36)、藤木孝さん(享年80)。芸能界ではなく、普通に平凡な暮らしをしていたならどうなっていたのか。
竹内さんはひとり、苦しみをかかえたまま逝ってしまった。その胸の内は永久にわからないままだ。
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