アルツハイマー病と認知症の違いは?認知症には種類があるの?

2023年2月19日

アルツハイマー病と認知症の違いは?

アルツハイマー病は病名、認知症は病気の症状

「アルツハイマー病」とは、認知症をひきおこす原因となる病気の一つ。病名です。

「認知症」は、病名ではありません。「認知症」は、認識や記憶、判断する力が障害を受ける病気の症状です。

認知症のひとつが、アルツハイマー病

「認知症」を引き起こす病名には、さまざまなものがあり、「アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)」もそのひとつ。

日本では、認知症を引き起こす原因のうち、もっとも割合の多い病気が「アルツハイマー病」で、6割以上とされています。

認知症の原因となる病気はさまざま

認知症の原因となる病気には、「血管性認知症」や「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」などがあるので、詳しくみていきましょう。

アルツハイマー病と認知症の違いは?

アルツハイマー病は長い時間をかけて、病状(認知症)がゆっくり進んでいく病気です。完全に進行するまで、約5〜10年かかるといわれています。

一方、認知症は病気ではありません。アルツハイマー病などの病気が原因によって引きおこされる病気の症状です。

認知症とは?

認識する能力が落ち、社会生活や日常生活をうまく過ごすことができなくなります。

アルツハイマー病の原因は?

アルツハイマー病は、脳にゴミがたまってゆく病気です。

ごみは、たんぱく質。「アミロイドβ」と呼ばれるタンパク質がたまり、これが認知症の原因とされています。

「アミロイドβ」は、脳にシミをつくり、脳のなかにある神経細胞を変化させたり、こわしたりして、脳の働きが弱まり、脳を委縮させることがわかっています。

アルツハイマー病の症状

アルツハイマー病では、記憶障害がおこります。

場所や時間、人などの認識ができなくなります(見当識障害)。

身体の機能も低下し、動きが不自由になったりします。

進行の度合いには個人差があります。

わずか数年で寝たきりになってしまう人や、10年経っても自立して穏やかに暮らしている人もいます。

アルツハイマー病の根本的な治療や薬はありません。

「抗認知症薬」で病気の進行を遅らせることができます。

アルツハイマー型の認知症の薬は?

アルツハイマー型の認知症に使われる薬は、進行に応じて次のようなものがあります。

(1)軽度~高度:ドネぺジル

(2)軽度~中等度:ガランタミンとリバスチグミン(貼付剤)

(3)中等度~高度:メマンチン

アルツハイマー病以外の、認知症の種類は?

【レビー小体型認知症】

脳に「レビー小体」と呼ばれるタンパク質がたまります。「レビー小体」がたまることで、脳神経細胞が減少し、認知機能が低下します。

【血管性認知症】

血管性認知症は、血管障害が原因となって、認知症が起こります。脳血管がこわれて、脳神経細胞が死に、認知機能の低下が起こるのです。

「脳梗塞」や「くも膜下出血」といった病気が原因に挙げられます。

【前頭側頭型認知症】

「タウタンパク質」などの異常物質が脳にたまり、脳のなかの「前頭葉」と「側頭葉」が萎縮し、認知症が起こります。

抑制が効かない、繰り返し行動、社会性がない、言語障害などが起こります。

「アルツハイマー病」と、「レビー小体型認知症」「血管性認知症」の違いは?

【症状の違い】

「アルツマイマー病」では、脳全体、特に海馬が萎縮します。

「レビー小体型認知症」は、萎縮があまり見られません。

「血管性認知症」では、「前頭葉」「側頭葉」「後頭葉」を中心に、梗塞がみられます。

「前頭側頭型認知症」では前頭葉・側頭葉が少しずつ萎縮していきます。

【男女比は?】

「アルツハイマー病」は、男性より女性の発症率が高く、男女比はおよそ1:2です。

「血管性認知症患者」の男女比は、およそ2:1です。

「レビー小体型認知症」は、男女差にさほど大きな違いはありません。

「前頭側頭型認知症」は男女差はありませんが、40代~60代の比較的若い世代で発症することが多いです。

【特徴的な症状】

「アルツハイマー病」の特徴的な症状は、記憶障害です。記憶をつかさどる「海馬」が著しく萎縮するためです。

「レビー小体型認知症」では、アルツハイマー病ほど、記憶障害は目立ちません。しかし、身体が自由に動きにくくなるパーキンソン症状や、幻視等の症状が目立ちます。

「血管性認知症」は、脳が損傷を受ける部分によって、あらわれる症状が異なります。

「前頭側頭型認知症」は、抑制が効かない、社会性がないなどの症状が見られますが、記憶は保っています。

【進行】

「アルツハイマー病」の進行は、とてもゆるやかです。本格的な症状があらわれる10年以上前から認知症を発症していた、というケースも少なくありません。ゆっくりと知機能が低下していきます。

「レビー小体型認知症」は、症状が良い時と悪い時を繰り返し、ゆっくりと認知機能が低下していきます。

「血管性認知症」は、脳卒中などの発作が起こるたびに、症状が進行しています。他の認知症と比べて、症状が急激に悪化しやすいことが大きな特徴です。

「前頭側頭型認知症」は、ゆっくりと進行していきます。

認知症の治療は?治る?

認知症は、基本的に、完治することができません。

アルツハイマー病は脳神経細胞がこわされる病気です。一度、破壊された脳神経細胞は、二度と元には戻らないからです。

ただし、認知症の中には、完治するタイプもあります。

脳腫瘍や特発性正常圧水頭症、甲状腺機能低下症などです。

認知症の原因が、脳細胞の減少ではなく、脳への刺激だからです。

認知症の原因である脳への刺激を取り除くことで、認知症を治すことが期待できます。

気になる症状があれば、早めに病院に行って診てもらいましょう。