アルツハイマー病と認知症の違いは?認知症には種類があるの?
アルツハイマー病と認知症の違いは?
アルツハイマー病は病名、認知症は病気の症状
「アルツハイマー病」とは、認知症をひきおこす原因となる病気の一つ。病名です。
「認知症」は、病名ではありません。「認知症」は、認識や記憶、判断する力が障害を受ける病気の症状です。
認知症のひとつが、アルツハイマー病
「認知症」を引き起こす病名には、さまざまなものがあり、「アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)」もそのひとつ。
日本では、認知症を引き起こす原因のうち、もっとも割合の多い病気が「アルツハイマー病」で、6割以上とされています。
認知症の原因となる病気はさまざま
認知症の原因となる病気には、「血管性認知症」や「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」などがあるので、詳しくみていきましょう。
アルツハイマー病と認知症の違いは?
アルツハイマー病は長い時間をかけて、病状(認知症)がゆっくり進んでいく病気です。完全に進行するまで、約5〜10年かかるといわれています。
一方、認知症は病気ではありません。アルツハイマー病などの病気が原因によって引きおこされる病気の症状です。
認知症とは?
認識する能力が落ち、社会生活や日常生活をうまく過ごすことができなくなります。
アルツハイマー病の原因は?
アルツハイマー病は、脳にゴミがたまってゆく病気です。
ごみは、たんぱく質。「アミロイドβ」と呼ばれるタンパク質がたまり、これが認知症の原因とされています。
「アミロイドβ」は、脳にシミをつくり、脳のなかにある神経細胞を変化させたり、こわしたりして、脳の働きが弱まり、脳を委縮させることがわかっています。
アルツハイマー病の症状
アルツハイマー病では、記憶障害がおこります。
場所や時間、人などの認識ができなくなります(見当識障害)。
身体の機能も低下し、動きが不自由になったりします。
進行の度合いには個人差があります。
わずか数年で寝たきりになってしまう人や、10年経っても自立して穏やかに暮らしている人もいます。
アルツハイマー病の根本的な治療や薬はありません。
「抗認知症薬」で病気の進行を遅らせることができます。
アルツハイマー型の認知症の薬は?
アルツハイマー型の認知症に使われる薬は、進行に応じて次のようなものがあります。
(1)軽度~高度:ドネぺジル
(2)軽度~中等度:ガランタミンとリバスチグミン(貼付剤)
(3)中等度~高度:メマンチン
アルツハイマー病以外の、認知症の種類は?
【レビー小体型認知症】
脳に「レビー小体」と呼ばれるタンパク質がたまります。「レビー小体」がたまることで、脳神経細胞が減少し、認知機能が低下します。
【血管性認知症】
血管性認知症は、血管障害が原因となって、認知症が起こります。脳血管がこわれて、脳神経細胞が死に、認知機能の低下が起こるのです。
「脳梗塞」や「くも膜下出血」といった病気が原因に挙げられます。
【前頭側頭型認知症】
「タウタンパク質」などの異常物質が脳にたまり、脳のなかの「前頭葉」と「側頭葉」が萎縮し、認知症が起こります。
抑制が効かない、繰り返し行動、社会性がない、言語障害などが起こります。
「アルツハイマー病」と、「レビー小体型認知症」「血管性認知症」の違いは?
【症状の違い】
「アルツマイマー病」では、脳全体、特に海馬が萎縮します。
「レビー小体型認知症」は、萎縮があまり見られません。
「血管性認知症」では、「前頭葉」「側頭葉」「後頭葉」を中心に、梗塞がみられます。
「前頭側頭型認知症」では前頭葉・側頭葉が少しずつ萎縮していきます。
【男女比は?】
「アルツハイマー病」は、男性より女性の発症率が高く、男女比はおよそ1:2です。
「血管性認知症患者」の男女比は、およそ2:1です。
「レビー小体型認知症」は、男女差にさほど大きな違いはありません。
「前頭側頭型認知症」は男女差はありませんが、40代~60代の比較的若い世代で発症することが多いです。
【特徴的な症状】
「アルツハイマー病」の特徴的な症状は、記憶障害です。記憶をつかさどる「海馬」が著しく萎縮するためです。
「レビー小体型認知症」では、アルツハイマー病ほど、記憶障害は目立ちません。しかし、身体が自由に動きにくくなるパーキンソン症状や、幻視等の症状が目立ちます。
「血管性認知症」は、脳が損傷を受ける部分によって、あらわれる症状が異なります。
「前頭側頭型認知症」は、抑制が効かない、社会性がないなどの症状が見られますが、記憶は保っています。
【進行】
「アルツハイマー病」の進行は、とてもゆるやかです。本格的な症状があらわれる10年以上前から認知症を発症していた、というケースも少なくありません。ゆっくりと知機能が低下していきます。
「レビー小体型認知症」は、症状が良い時と悪い時を繰り返し、ゆっくりと認知機能が低下していきます。
「血管性認知症」は、脳卒中などの発作が起こるたびに、症状が進行しています。他の認知症と比べて、症状が急激に悪化しやすいことが大きな特徴です。
「前頭側頭型認知症」は、ゆっくりと進行していきます。
認知症の治療は?治る?
認知症は、基本的に、完治することができません。
アルツハイマー病は脳神経細胞がこわされる病気です。一度、破壊された脳神経細胞は、二度と元には戻らないからです。
ただし、認知症の中には、完治するタイプもあります。
脳腫瘍や特発性正常圧水頭症、甲状腺機能低下症などです。
認知症の原因が、脳細胞の減少ではなく、脳への刺激だからです。
認知症の原因である脳への刺激を取り除くことで、認知症を治すことが期待できます。
気になる症状があれば、早めに病院に行って診てもらいましょう。
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