【大阪】トトロに会えそうな穴も! 幻の「金胎寺城」は穴場のミステリースポット

【大阪】トトロに会えそうな穴も!

幻の「金胎寺城」は穴場のミステリースポット

14世紀、大阪南部の粗末な山城に立てこもり、数万から十数万という強大な鎌倉幕府の大軍勢を、わずか千人ほどの小勢で撃退した河内国の武将「楠木正成(くすのきまさしげ)」。そんな正成が築いた城のひとつが、大阪府富田林市にある「金胎寺城(こんたいじじょう) 」です。

金胎寺城は、夕日も美しい観光名所。大阪の観光ガイドブックにもほとんど紹介されていない穴場のスポットです。城の姿はもう見られませんが、山頂まで20~30分ほどのハイキングを楽しむことができ、人によってはジブリ映画の『トトロ』に会えるような“茂みのトンネル”に遭遇することも。
中世歴史の名残をとどめる、ちょっと不気味なミステリースポットをご紹介します。

金胎寺城へのアクセス・行き方

電車でアクセスするなら、近畿日本鉄道(近鉄)長野線の「汐ノ宮駅(しおのみやえき)」で下車するのがおすすめ。のんびりローカルな雰囲気が漂う、単線の駅舎です。
改札口はひとつ。駅前の旧国道170号線を横断して真っすぐ進み、石川にかかる千代田橋を渡り、突き当りの「妙見寺」を右折します。

妙見寺から、歩いて数分の場所にあるのが「腰神神社」。地元の方から、“腰神さん”と呼ばれ、腰痛の平癒にご利益がある神社として知られています。

腰神神社は、金胎寺山(城山)の山麓にある神社。神さびた雰囲気が漂います。楠木正成が鎌倉幕府討伐に向かう途中で、馬が腰を痛めて歩けなくなり、腰神神社の藤の木(写真)につないで休みをとらせたところすっかり良くなったそう。正成が、腰神神社で勝利を祈願したという伝説も残っています。

腰神神社から、さらに数分歩いた場所に金胎寺山への道案内図があるので、この案内に沿って登山道の入口へと向かいましょう。
山頂までのハイキングコースでは、金胎寺跡や兵舎跡などを見ることができます。

大阪・富田林で、いちばん高い山

写真が、登山道の入り口。柵がありますが、これはイノシシが山から街へ出るのを防ぐためのもの。柵は、簡単に開けることができます。ただ、なんとなく不気味な山道。初めての方なら、ちょっと怖いかも。

イノシシとの遭遇を避けるための鈴も用意。この鈴を腰に付けて登山します。登山を終えたら鈴を元の場所に戻します。ここから山頂まで20~30分ほど。

金胎寺山は、標高296メートル。富田林市で、いちばん高い山です。この山に築かれていたのが「金胎寺城」。山頂にある看板によると、「後醍醐天皇に仕えた楠木正成が、鎌倉幕府と戦うため、南北朝時代の元弘3年(1333年)に、“楠木7城”の一つとして築城した」と説明しています。
地元民や歴史好きな人以外は、ほとんど訪れることのない、穴場のスポット。滑りやすいところもありますが、登山道は比較的に整備されています。

トトロに出会えそうなトンネルも!

登山道の途中にあるのが「金胎寺跡」。観音寺など10棟の寺院があったそうですが、今は草むらに覆われ、形に残るものは何もありません。心霊スポットのような不気味な気配が漂っていますが、一抹の寂しさも覚えます。

個人差にもよりますが、歴史にゆかりがある地で何もない場所というのは、目には見えない霊的な磁場が渦巻いていて、想像力を高めてもらえます。そこで、なぜかはっと頭に思い浮かんだのが、子供の時にしか会えないとされる不思議な生き物のトトロの存在。

スタジオジブリの人気映画『となりのトトロ』。ある日、幼い少女のメイは茂みのトンネルをくぐり、大きな木の根もとにある、母胎のような穴でトトロに出会います。

母胎や胎盤という言葉のニュアンスを持つ金胎寺山。その山道で出会った、茂みのトンネル。人によっては、目に見えないトトロへと通じる、秘密の抜け穴のように見えることもあるのではないでしょうか?

こちらは、なんとなくハートっぽく見えた緑のトンネル。松尾芭蕉は、俳句で『夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡』と詠みましたが、楠木正成が生死をかけて戦った「金胎寺城」にも何一つ形に残るものはありません。夢のあとに、草が生い茂っているばかり。

こちらは五合目付近にある「中間展望台付近」。山頂へはあと15分ほど。ここでも、トトロへと通じる不思議なトンネルのような光景(写真右上)を目にすることができます。

トトロは、人の心の中に生きる不思議な生き物。メイのように、「トトロに会いたい」と思えば、平凡に見える茂みのトンネルも、トトロへと通じる秘密のトンネルのように思えるかもしれません。
見ようと思えば、「風のとおり道」も見えるのかもしれません。

トトロの棲む森(トトロの森)のモデルは、東京都(東村山市)と埼玉県(所沢市)にまたがる「狭山丘陵」と言われています。そこは、武蔵野の里山の景色が残っている場所。

しかし、トトロの森は“特別な森”ではなく、本来は日本全国のどこにでも見られる自然の姿。トトロは子供にしか見ることができない(普通は人間には見えない)存在ですが、トトロの気配が感じられたら、そこがトトロの森。そんなことを思っていたら、いつのまにか山頂へ。

神戸・六甲山や金剛山を展望

こちらが、金胎寺山の山頂。鎌倉時代末期の14世紀に楠木正成が金胎寺城を築造し、戦国時代の終わりの16世紀末に廃城となったと伝わっています。強固な石垣が残るわけでもなく、今は城の面影もありません。

圧倒的に優位な鎌倉幕府軍に対し、楠木正成は岩石や木材を落として戦いました。金胎寺山の山頂からは、遠く神戸・六甲山の山並みや明石海峡大橋、淡路島、関西空港など、大阪湾をぐるりと眺望することができます。

反対側には、奈良と大阪の境目にまたがる「金剛山」の姿が見えます。かつては「高天山(たかまやま)」などと呼ばれ、今から約1300年前の7世紀に、修験道の開祖、役小角(役行者)が修行した山です。

まとめ

幻の山城があった、金胎寺山。「胎(たい)」には、子供が宿る子宮、「胎蔵界(たいぞうかい)」といった意味があります。密教では、「金剛界」と「胎蔵界」は、対となる心の世界。

ダイヤモンドを意味する金剛界は、揺らぐことのない固い信念。これに対して、胎蔵界は、子供が母親の胎内で育つような慈悲の想い。蓮華(れんげ)に象徴されています。
大阪南部にある「金剛山」「金胎寺山」。向きあうようにそびえる二つの山には、密教の世界観が暗示されているのでしょうか? それも謎。実にミステリー。

金胎寺山は、夕日も美しい名所です。夕闇迫る、雲の果て。最後は悲運に散った、楠木正成に思いを馳せ、目に見えないトトロの気配にも耳を澄ませてみてはいかがでしょうか?

金胎寺城の基本情報

場所・地図 

〒584-0055 大阪府富田林市大字伏見堂
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